スピッツ(草野マサムネ)の歌い方の特徴|脱力発声とストレートトーンのしくみ
スピッツ・草野マサムネさんの歌い方は、喉に力を入れない脱力発声と、ビブラートを抑えたストレートトーンが特徴。「ロビンソン」を例に、高音でも声が硬くならないしくみと、真似するときの注意点を解説します。

スピッツ・草野マサムネさんの歌声は、力んでいるように見えないのに、驚くほど高い音域まで届くのが特徴です。
「ロビンソン」のサビや「チェリー」のメロディを聴くと分かるように、叫ぶような発声ではなく、終始やわらかいトーンを保ったまま高音に乗っていきます。この記事では、その歌い方を支えている発声のしくみを技術的に分解し、真似するときに意識したいポイントを解説します。
草野マサムネさんの歌い方、何が特徴的なのか
大きく分けると2つの特徴があります。ひとつは、喉まわりの力を抜いたまま声帯だけを効率よく振動させる「脱力発声」。もうひとつは、ビブラートを控えめにして、フレーズの最後まで音の太さを保ったまま伸ばす「ストレートトーン」です。
高音になるほど喉に力が入りやすいのが一般的ですが、草野さんの歌唱は、音が高くなっても声の質感があまり変わらないように聞こえます。音の高さは主に声帯の張り具合で決まりますが、これは、喉まわりの余計な力で音程を持ち上げるのではなく、腹式呼吸による安定した息の流れと声帯の閉じ方で支えながら高音へ移っているサインと考えられます。
なぜ喉に力を入れずに高音が出せるのか
喉仏まわりの筋肉に力を入れて音程を持ち上げようとすると、声帯が必要以上に強く閉じてしまい、音が硬く詰まった響きになります。これがいわゆる「張り上げ」の状態です。
脱力発声では、この力みを外し、声帯の閉じ方を整えて音の芯を作るとされます。声帯を薄く伸ばしながら、必要な分だけ閉じる感覚です。喉の外側の筋肉が脱力できていると、高音でも喉仏が上がりすぎず、声がこもったり裏返ったりしにくくなります。
もう一つの支えがブレスコントロールです。息を一気に出しすぎず、フレーズの最初から最後まで一定の量で吐き続けることで、声の太さや音程が揺れにくくなります。カラオケで高音のロングトーンが不安定になる人は、息の配分がフレーズの前半に偏っていることがよくあります。
動画で発声のニュアンスを確認する
サビ前から音程が上がっていく箇所で、声量を張り上げるのではなく、息の圧を少しずつ強めて音を持ち上げているように聞こえるか、耳を澄ませてみてください。喉が締まる感覚が出ていないか、自分で歌いながら比較してみてください。
真似するときに気をつけたいこと
脱力発声は「力を抜けばいい」と誤解されがちですが、力を抜きすぎると今度は声が息っぽくなり、芯のない声になってしまいます。目指すのは、喉の外側の力みだけを抜き、声帯の閉じる力は保つバランスです。
いきなり曲全体を真似しようとすると、力の入れどころが分からず喉に負担をかけがちです。まずは低い音域のロングトーンで、喉に力を入れずに声を伸ばせるかを確認してから、少しずつ音域を上げていくと安全です。
スピッツの曲で実際に練習する場合は、「渚」の音域(E3〜B4)とキー調整の目安や、高音を長く保ち続ける力が試される「楓」の音域とキー調整の目安を個別記事で解説しています。
自分の声の「力み」はどこにあるか
脱力発声を目指すうえで一番難しいのは、「自分がどこで力んでいるか」を自分の耳だけでは判断しにくいことです。歌っている本人には脱力できているつもりでも、録音して聴き返すと喉が締まった音になっている、というケースは珍しくありません。
自分の声のクセを客観的に把握したい方は、症状別に自分の声のクセを診断すると、力みが出ているポイントを具体的に見つけやすくなります。
録音した声をお手本と聴き比べて近いタイプを選べるボイモのようなアプリを使えば、「脱力できているつもり」と実際の音とのズレを、練習のたびに確かめながら進められます。



