「白日」(King Gnu)の音域|一人で歌うと低音の深さと裏声の質を同時に問われる曲|井口・常田パート別とキー目安
King Gnu「白日」の音域は地声A#2〜B4、裏声最高音F#5。低音の常田パートと高音の井口パートが約2.7オクターブを分担するツインボーカル曲で、一人で歌うと低音の深さと裏声の質を両方問われます。原曲キーで歌える条件、男性−2〜−3などのキー調整の目安、サビの裏声・換声点・Aメロのウィスパーといった難所の歌い方まで解説します。

King Gnu「白日」の音域は、地声の最低音がA#2(mid1A#)、地声の最高音がB4(hiB)、裏声の最高音がF#5(hiF#)です。
裏声まで含めると2オクターブと8半音(約2.7オクターブ)という非常に広い音域で、これは低音担当の常田大希さんと高音担当の井口理さんが分担するツインボーカルを前提に書かれているためです。
一人で原曲キーを歌い切れるのは、A#2の低音を鳴らせて、なおかつhiC(C5)以上の裏声を息漏れなく安定して出せる人に限られます。標準的な男性ならキーを2〜3個下げる(−2〜−3)のが現実的な目安です。
2019年にドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』の主題歌として発表されて以来、カラオケの高難易度曲の代名詞になっている1曲。以下では音域データと、原曲キーで歌えるかどうかの判断基準、パート別の攻略ポイントを具体的に見ていきます。
白日の音域データ
| 項目 | 音 |
|---|---|
| 地声最低音 | A#2(mid1A#=一般的な男性の地声の下限に近い低さ) |
| 地声最高音 | B4(hiB=転調後のラストサビに登場) |
| 裏声最高音 | F#5(hiF#=2番サビとラストサビの裏声フレーズ) |
| 音域の幅 | 地声だけで約2オクターブ、裏声まで含めて2オクターブ+8半音(約2.7オクターブ) |
| テンポ | BPM93(速くはないが、音符が細かく詰まっている) |
最低音A#2・地声最高音B4・裏声最高音F#5の3つは、vocal-range.com と blaxeason.com の両方に同じ値が載っています(出典によって半音ほど違うことがあります)。
ポイントは、この音域が「一人の歌手の声」を想定していないことです。最低音のA#2は低音ボーカルの常田さん、最高音のF#5は高音ボーカルの井口さんがそれぞれ担当しており、曲全体としては低い男性の声から女性並みの高さまでをまたぎます。カラオケで一人で歌うと、この両方を一人で引き受けることになる——これが「白日」の難しさの正体です。
パート別の音域|井口パートと常田パート
パートごとに見ると、性格がはっきり分かれます。
- 常田パート:曲の最低音A#2(mid1A#)を含む低音側を担当。vocal-range.com の分析では、常田パートはおおむねA#2〜F#4(mid2F#)程度と、一般的な男性の地声に収まる範囲とされています。高さ自体は無理がない一方、低い声でも言葉がこもらずに聞こえる響きが求められます。
- 井口パート:地声最高音のB4(hiB)と裏声最高音のF#5(hiF#)はこちら側。同じ分析では、井口パートはA3(mid2A)付近〜F#5と、女性の音域に近い高さで推移するとされています。特徴的なのは、hiC(C5)以上の高音域がほぼ裏声で歌われていること。しかもかすれた弱い裏声ではなく、息漏れの少ない、芯の通った裏声です。
つまり一人で歌う場合、「低音の深さ」と「裏声の質」という別々の能力を両方問われます。どちらか一方だけ得意でも、もう片方のパートで崩れやすい構造です。
井口パートと常田パートの高低差を本人歌唱で聴く
低く語るような常田さんの声と、裏声主体で駆け上がる井口さんの声が、同じ曲の中でどれだけ高さの離れた場所にいるかに注目して聴いてみてください。
二人分の声域と裏声の質を、一人で負うから難しい
- ツインボーカル前提の音域幅:裏声込みで約2.7オクターブは、ソロ曲ではまず見ない広さです。一人カラオケでは、どこかのパートを捨てるかキーで調整するしかありません。
- 高音域が裏声中心=裏声の質がそのまま出る:hiC以上を裏声で処理する構成のため、裏声がかすれる人・息漏れが多い人は、サビのたびに弱点が露出します。地声の張り上げでごまかせる曲ではありません。
- 地声と裏声の往復が頻繁:メロディが地声域と裏声域を細かく行き来するため、つなぎ目(換声点)で声がひっくり返るリスクが常にあります。
- ラストサビで転調する:終盤で全体が半音上がり、地声最高音のB4はこの転調後のサビで出てきます。「サビを2回歌えたのに最後で崩れた」が起きやすい構成です。
- 息継ぎの余白が少ない:BPM93とテンポ自体はゆったりですが、音符が細かく詰め込まれているため、ブレスの位置を決めておかないと後半で息が持ちません。
原曲キーで歌えるのは、高い裏声と低音の両方が鳴る人
判断基準は次の3つです。
- 裏声でF#5(hiF#)まで、息漏れなく出せるか。単に「音として届く」ではなく、声量を保ったまま芯のある裏声で出せることが条件です。
- 地声(またはミックスボイス)でB4(hiB)が出せるか。一般的な男性の地声上限はG4〜A4付近なので、B4は鍛えていない地声では届きにくい高さです。
- A#2(mid1A#)の低音が「声」として鳴るか。男性の地声下限はG2〜D3あたりと人によって幅があるので、A#2は出せる人と出しにくい人に分かれ、出せても芯を保ったまま響かせられるかは別問題です。
3つすべてを満たす人は多くありません。特に2つ目・3つ目は男性でも片方しか満たせないことが普通で、女性の場合は井口パートには対応しやすい反面、常田パートの低音はほぼ物理的に出ない高さです(女性はその区間を1オクターブ上げて歌うのが現実的です)。
「たぶん出るはず」で挑む前に、地声でB4、裏声でF#5に届くかを音域を広げる方法と自分の音域の調べ方の手順で一度測っておくと、キー設定の判断が一気に楽になります。
キーを下げるほど低音が沈むので、−3が限度
男性の場合
| キー設定 | 最低音 | 地声最高音/裏声最高音 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 原曲(±0) | A#2 | B4/F#5 | 息漏れの少ない裏声でF#5帯まで出せる上級者 |
| −2 | G#2 | A4/E5 | 標準的な男性の第一候補。地声最高音が一般男性の上限付近に収まる |
| −3 | G2 | G#4/D#5 | 高音がやや苦しい人。ただし最低音G2はかなり低く、低音に自信がある人向け |
| −4以下 | F#2以下 | G4以下/D5以下 | 非推奨。常田パートの低音が沈みすぎて、ほぼ声にならなくなる |
この曲のキー調整で厄介なのは、下げるほど常田パートが犠牲になることです。普通の曲なら「高音が苦しければ下げる」で済みますが、「白日」は最低音がすでにA#2と低いため、−3でG2、−4でF#2まで落ち、多くの人の地声下限を割り込みます。
高音の楽さと低音の鳴りのバランスが取れるのは、−2〜−3が実質的な限界と考えておくとよいでしょう。
なお、キーを下げても裏声フレーズが裏声であることは変わりません。−2にしてもE5前後の裏声は必要なので、「下げれば地声で押し切れる曲」ではない点は覚えておいてください。
裏声がどうしても続かない場合は、キーは変えずに井口パートだけ1オクターブ下で歌う方法もあります(vocal-range.com の分析が挙げている方法です)。そのとき井口パートはA2〜F#4にあたり、高音はすべて地声で届く高さになります。原曲の雰囲気からは離れますが、常田パートは原曲の高さのまま歌います。
女性の場合
女性は井口パートの高さが自分の音域と近いため、原曲キーのままが第一候補です。裏声のF#5がきつい場合は−1〜−2に下げると、裏声最高音がE5〜F5に収まります。常田パートの低音区間は原曲の高さでは出ないので、そこだけ1オクターブ上げて歌うのが現実的です(最低音のA#2はA#3になります)。
二人で分ける前提の音域を一人で歌うのですから、キーを下げるのは自然な選択です。−2と−3のどちらにするか迷うときは、カラオケでキーを下げるのはダサい?下げるべき判断基準も判断材料になります。
裏声の芯と換声点が、一人で歌う「白日」の難所
サビの裏声を「息漏れの少ない裏声」で出す
「白日」攻略の核心はここです。サビの高音域はほぼ裏声で書かれているため、ふわっとかすれる裏声のままだと、サビ全体が弱々しく聞こえてしまいます。目指すのは、声帯がきちんと閉じた、細くても芯の通った裏声です。
息を強く吐いて音量を稼ごうとすると、かえって息漏れが増えてかすれます。まず小さな声量でいいので「まっすぐ通る裏声」を作るところから始めてください。→ 裏声の出し方|きれいで芯のある裏声を出すコツと練習
地声と裏声のつなぎ目でひっくり返らない
メロディが地声域と裏声域を頻繁に往復するため、換声点(地声と裏声が切り替わる境目)の処理が雑だと、切り替わりのたびに「ガクッ」と段差が付きます。
対策は、地声側の音量を裏声側に寄せておくこと。地声を大きく張ったまま裏声に飛び移ると段差が目立つので、切り替えの手前から音量と息のスピードをそろえておくと、つなぎ目がなめらかになります。→ 地声から裏声で裏返る・換声点でひっくり返る人へ
Aメロは張らずに「ささやき」で置く
歌い出しのAメロは、息を多めに混ぜたウィスパーボイス気味の柔らかい声で歌われています。ここを普通の地声でしっかり歌ってしまうと、サビとの対比が消えて一本調子になります。
声量を抑え、息の成分を前に出して静かに置くイメージです。ただし息だけが漏れて言葉が届かなくなるのは別の失敗なので、加減が要ります。→ ウィスパーボイスとは?出し方のコツ
この曲で聞こえるウィスパーボイスや、ロングトーンの語尾の細かい揺れ(「ちりめんビブラート」と呼ばれる揺れ)については、歌い方に踏み込んだ解説記事があります。→ King Gnu(井口理)の歌い方の特徴|「白日」で聴くウィスパーボイスとちりめんビブラート
常田パートの低音は「こもらせない」
A#2前後の低音は、出せる人でも油断すると口の中で音がこもり、何を言っているか聞き取れなくなります。低音ほど息をしっかり流し、言葉を口の前のほうで明瞭に置く意識を持つと、低いのに輪郭のある声になります。低音の鳴らし方そのものを鍛えたい人はこちらが土台になります。→ 低い声を出す方法
自分の声がどこで崩れるかを知ってから挑む
「白日」は、音域の広さ・裏声の質・換声点の処理という、歌の弱点が全部あぶり出される曲です。裏を返せば、この曲のどこで崩れるかが分かれば、自分が今何を練習すべきかがそのまま見えてきます。
ただし、歌っている本人の耳には骨伝導の音が混ざるため、「裏声がかすれているのか」「張り上げているのか」「換声点で裏返っているのか」を自分で正確に判定するのは困難です。サビの裏声と転調後のラストサビを録音して、聴き返して確かめてください。
歌の練習アプリ「ボイモ」の診断は、自分の録音をお手本の声と聴き比べて、いちばん近い声のタイプを選ぶ方式です。原曲キーに届かない原因が音域そのものなのか、出し方のクセなのかの見当がつくと、キー設定も練習メニューも決めやすくなります。タイプごとの症状はあなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】にまとめています。
一人で歌い切りやすい曲を先に持ち歌にしたい場合は、カラオケで歌いやすい曲22選【音域一覧】に、歌いやすい曲を音域つきで男女別にまとめています。



