歌唱テクニック約3分で読めます

椎名林檎の歌い方の特徴|「本能」の声色の対比と、巻き舌・エッジボイスの聞きどころ

椎名林檎の「本能」の声色対比や「丸の内サディスティック」の巻き舌・エッジボイスなど、歌唱テクニックを解説します。

ボイモ編集部ボイモ編集部
椎名林檎の歌い方の特徴|「本能」の声色の対比と、巻き舌・エッジボイスの聞きどころ

椎名林檎さんの歌い方の大きな特徴は、一曲、あるいは一つのフレーズの中で声のキャラクターを大胆に切り替える点にあります。同じメロディでも柔らかい声と鋭い声を意図的に使い分け、聴き手の感情を揺さぶる構成になっているのが特徴です。

「本能」サビ前フレーズで声色を反転させる技術

「本能」という曲の、サビに入る直前のフレーズでは、声の質感がはっきりと切り替わる歌唱が見られます。前半部分は優しく柔らかい声で歌われ、後半部分になると一転して硬く鋭い声に変化します。

声の使い方を大きく変えることで生まれる対比に聞こえます。

前半は息を多く含んだ薄い声、後半は張りのある厚い声に聞こえる。この「薄い声」と「厚い声」の振れ幅の大きさが、短いフレーズの中にドラマを作っています。

声をしっかり張るための声帯の閉じ方(声帯閉鎖)をつかみたい方は、声帯閉鎖のやり方と鍛え方も参考になります。

「本能」で声色の切り替わりを聴いてみる

サビに入る直前、声の質感がふっと変わる瞬間に注目して聴いてみてください。

「丸の内サディスティック」の巻き舌とエッジボイス

「丸の内サディスティック」では、巻き舌が印象的なテクニックとして使われています。この巻き舌が、楽曲全体の「こなれた感じ」や少しやさぐれた雰囲気を作り出す要素になっています。

さらにこの曲では、コーラス部分の後にシャウトが入り、高音域に差し掛かる部分で地声から裏声へと切り替わる瞬間があるように聞こえます。裏声への切り替えがなめらかに行われることで、感情の高ぶりを表現しているように聴こえます。

裏声と地声の境目(換声点)がなめらかに繋がらず引っかかってしまう方は、換声点をなめらかにする練習を試してみてください。

またこの曲では、声帯を軋ませるような低くザラついた、エッジボイス(声帯を軽く閉じたまま、少ない息で低く鳴らす声)に近い質感や、吸う息・吐く息の音が混ざってグルーヴを生んでいるように聞こえる表現もあります。エッジボイスの出し方について詳しく知りたい方は、エッジボイスの出し方をご覧ください。

Aメロは抑え、サビで前に出す緩急のつけ方

椎名林檎さんの楽曲全体に共通する傾向として、Aメロは声を抑えぎみに始め、サビに向かって声を前に出して強めていく構成の多さが挙げられます。

声を張り上げるのではなく、息を多めに使い、語尾でわずかに息が漏れるような表現が混ざっているように聞こえます。オペラのようにきれいに抜ける声とは異なり、息を残したまま鳴らす独特の質感が、楽曲に生っぽさを与えています。

一曲の中で少女のような声から強い女性像を思わせる声まで、語りかけるように表情を変化させる歌唱スタイルも特徴の一つです。

真似するときに喉へ負担をかけすぎないために

こうした声色の対比やがなり、細かいビブラートやフェイクは再現の難易度が高く、無理に喉を締めて似せようとすると声帯に負担がかかりやすい表現です。まずは弱い部分と強い部分を明確に分けて歌う練習から始め、喉に痛みや違和感を覚えたら一度中断することを意識してみてください。

こうした声の切り替えは感覚的にコピーしようとするとクセがつきやすく、自分がどんな声の使い方をしているかは、実は自分自身では正確に把握しづらいものです。録音して聴き返し、自分の声がどのタイプの症状に当てはまるのかを客観的に知ることが、上達への近道になります。

あなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】で、自分の声の傾向を診断してみてはいかがでしょうか。

耳だけでは自分の声が締まっているのか抜けているのかを判断しづらいときは、録音した声をお手本と聴き比べて症状のタイプを選べるボイモのようなアプリを使うと、切り替えのクセを客観的に確認しやすくなります。

#椎名林檎 歌い方#こぶし#フェイク#歌唱テクニック

関連する記事

桑田佳祐の歌い方の特徴|英語風の子音・ハスキーボイス・ノリのしくみ
歌唱テクニック

桑田佳祐の歌い方の特徴|英語風の子音・ハスキーボイス・ノリのしくみ

桑田佳祐の歌い方が「独特」と言われる理由は、子音を英語のように立てて母音を崩す発音、地声主体のざらついたハスキーボイス、言葉を拍に詰め込んでビートに乗せるノリの3つが重なっているからです。「勝手にシンドバッド」の10音フレーズ、公式MVで聴く「波乗りジョニー」「白い恋人達」の聴きどころ、歌い方は変わったのかという疑問、喉を痛めずに真似する順番(リズム→子音→声色)までを解説します。

ボイモ編集部ボイモ編集部
ハモリの練習アプリ|一人でハモれるようになる練習と選び方
歌唱テクニック

ハモリの練習アプリ|一人でハモれるようになる練習と選び方

ハモリ練習アプリは「主旋律とハモリを別々に聴ける」「重ね録りできる」「音程のズレが見える」で選ぶと失敗しません。一人でハモれるようになる3ステップ(回数目安つき)と、タイプ別のアプリ比較、つられる原因=音程を保つ力の鍛え方まで解説します。

ボイモ編集部ボイモ編集部
なとりの歌い方の特徴|低音のフラットな質感と息を混ぜたファルセットのしくみ
歌唱テクニック

なとりの歌い方の特徴|低音のフラットな質感と息を混ぜたファルセットのしくみ

なとりの歌い方は、低音域を土台に抑揚を削ったフラットな質感と、息を多めに混ぜたファルセットが特徴。「Overdose」と「絶対零度」で変わる声の役割を発声用語で分解します。

ボイモ編集部ボイモ編集部